【二】

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「僕の同級生たちはね。一番食べたかった時期に、甘かもんのひとつも食べられんやった。こればガマンしたら、こいば頑張ったらみんな幸せになるっちゅうてね。何も受けとらんまま逝った。長崎でね。もう覚えとる人の方が少なか。せめて僕が覚えとるうちはね。毎日プレゼントする。怒らんでな」 ニコニコニコニコ。 小山さんの笑顔は、もう心を隠す鎧ではなく、あたたかな上着のようによう子を包んでくれた。 【完】
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