【一】

6/7
前へ
/23ページ
次へ
「やるよ、俺には必要ない」 そんなことは、と言いかけた言葉をよう子は飲み込んだ。 松尾氏の表情で、言うべきではないと感じた。 よう子はスケッチブックを開いた。 場所を、角度を変えた、何枚もの街角が描かれていた。 温かい青や赤の灯りが点り、幸せそうな人々が行き交う。 「クリスマスって俺大好きなんだよ。その風景はこの頭の中で消えることはない。看護師さん達が俺のこと、心配してくれてるのはわかるけど、大丈夫だ」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加