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目の前にある輝くようなイチョウ並木にいる私はやや機嫌が悪いことを相手に伝えるべきか。 しばらく考えたけど今回もやめておく。 総司さんという自由人には日本語が通じなくなるときがよくある。 だから私も勝手に1人で機嫌を悪くさせておくことにする。 「今回ここ選んで正解だった」 ―カシャ 「よかったねー」 機嫌を悪くさせている元凶ともいえるカメラのシャッター音を聞きながらベンチに腰掛けそっぽを向く。 「海外にも最高の景色はあったけど、やっぱり日本人なら日本の良さも知るべき」 「へえー」 総司さんと出会ったのは私がまだつまらない海辺の町でダッサイ夏の学生服を着ていたとき。 授業をサボっていたらカメラ片手に旅をしている彼に出会った。 そこで私は総司さんからビー玉越しの逆さ世界を教えてもらい、総司さんには波音が消える夕日のことを教えたのだ。
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