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事の発端は数週間前。
「嘘だろォォォ!!!!!!!」
片瀬家に一家の主人である桃歌の父...祐介の叫びが響き渡った。
妻であり桃歌の母・歌奈は眉をひそめ、「...どうしたの?」と尋ねる。
祐介はガタガタと肩を震わせながらか細い声で言った。
「...っ......逃げられた」
「...は?」
「一緒に起業しようとしてた友達に、資金全部持って逃げられた...!」
「......嘘でしょ。木村くんが?」
「まずい...このままだと大損害だ。多額の借金を背負うハメになるぞ」
「落ち着きなさいよ。焦っても仕方ないことじゃん」
歌奈は冷静に答えながら、内心焦りを覚えていた。
娘の桃歌と息子の奏介はまだ高校生と中学生。これからの進学にもそれなりのお金がかかる。
貯金を崩すにしても...限界があるだろう。
歌奈の飲食店でのパートの給料も。
「あたしが割のいい仕事見つけてくるしか...お父さんも仕事見つけなきゃだしね。問題は山積みだ...この事だけど、桃歌と奏介には気を遣わせたくないから内緒に」
「...もう聞いてる」
桃歌は柱の影から決まり悪そうに顔を出す。
両親は驚愕を目に浮かべてうろたえた。
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