差出人の正体

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広太が次の仮説を立てる前に話を進める。 なるべく早く終わらせたいのだ。 「つまり、推理研究会の部員は加入を望む生徒が誰でも良い訳ではなかった」 「ちょっと待ってよ。 じゃあこの紙は本当にセン宛だったって言うのか?」 俺が頷くと、 「もしかして先生が......」 「阿保か。 先生は俺の名前と顔を入学式前に一致させることはできないんだよ」 「どうしてさ。 入試の時に......あっ」 広太が気付いたのは入試の時に書く名前の部分だ。 俺たちは入試の日、名前ではなく“受験番号”を記入した。 それは採点時に起こりうる不正などを防ぐためなんだろう。 つまり、俺の顔と名前を一致させる事ができた先生はいない。 勧誘紙を入れたのは先生ではないのだ。 「じゃあ、やっぱり生徒が入れたんだね。 二年生か三年生の推理研究会に所属する誰かが」 「そうだ」 「でもさ、生徒ならどうしてセンの席が分かったんだろうね。 今日、他学年の先輩は僕たちの教室には来なかった」 「それは簡単な話だ。 廊下に座席表が貼られてただろ。 それが入学式の当日ではなく前日から貼られていたとしたらどうだ」     
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