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すらりと伸びた脚、烏の濡れ羽色したロングヘア。 目を合わせると凍りつきそうな視線からは一見怪しげな雰囲気を醸し出す先輩だが、実際はそんなことはなく広太並みに飄々としている。
本人曰く、凍りつきそうな視線は推理小説を読んでいると人を観察したくなるから、とのことだ。
「あ、隣の子が広太くんだねっ」
「は、はあ。 どうも」
まさか広太が雰囲気に押されるとは。
「それで? どうしてこんな回りくどいことをしてまで俺を勧誘したんですか」
メイ先輩は腕を組むと、
「それは、センちゃんに入部して欲しかったからよ」
「本当にそれだけですか?」
変わり者の先輩だ。 そんな単純な理由だけでは無いと思っている。
教卓から降りて、俺の側まで歩み寄ると「やっぱりバレるかあ」と落胆の声を漏らした。
俺宛に入部を申し込むなら教室までこれば良いし、他にも手はあっただろう。
「実は早急に解決してほしい事件があるの」
ほら、やっぱり。 そんな事だろうと思った。
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