謎その二。 借りられっぱなしの本

8/8
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
広太はシャーペンを机に置き、珍しく腕を組んで目を瞑り、そのまま動かなくなった。 他に仮説が立てられないかと考えに没頭しているのだろう。 俺は広太のシャーペンを勝手に借りて書き足しながら話す。 「犯人を文字でXとするなら、それは単独か複数かは今は断言できない。 言えるとしたら、本好きなグループによる犯行ではないという事だ」 「......あ、あのさ」 突然、これまでずっと黙っていた先輩が口を開いた。 眉は下がり、どこか申し訳なさそうに話に入ってきた先輩が次に口にした言葉はーー。 「実は私、誰が借りたのか知ってるの」 その発言に俺は疑い、広太は「えっ!」と声を漏らした。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!