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「若を!!お護りするのじゃ!!」
集団の最後尾を駆ける政秀の上ずった声が響く。
尋常ならざる速度で駆ける先頭の男。
まさに小屋に跳び込まんとする足軽然とした男に切り掛かる。
間一髪。
身体全体で跳びかかる猿のような一撃。
辛うじて刃を合わせた男は、その勢いに呑まれ縺れたままに入口から弾かれる。
跳びかかった小男は縺れたままに剣激を繰り出す。
接近戦の手練れに違いない。
左腕の腱と脇腹が抉られた。
足蹴にしてなんとか小男を引き離し、間合いをとって太刀を構える。向き合ってみると幼さを残した猿のような面。
好戦的で残忍さを匂わせる笑みを浮かべている。
足軽男は右手に太刀を持って間合いを測りつつ、長数珠の巻かれた左手で印を組む。
「オン バサラ ソワカ!」
対する猿面の男が驚愕の顔で足軽男の背後を凝視する。
『こやつ、見えるのか!?』
足軽然とした男の背後に、おぼろに浮かぶ十二神将・伐折羅の顕象。
全ての者に見える訳ではない。視る力のある者だけだ。
そこに遅れて参じた供の者らが刀を構える。
足軽男は既に手負い。五対一と多勢の様相だ。息は上がっているものの余裕の表情が浮かんでいる。
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