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徐々に開く差があった。
繁丸の舞うように流麗な武闘は、うねりと淀みを生じ、吉法師へ届かなくなった。
焔の宿らぬ裸の拳を繰り出すも、吉法師は避ける素振りもなく正面から剛の拳で打ち砕く。
「やめて!」
うずくまったまま見上げる蓬が泣きながら声を上げる。
しかしどちらの耳にも届かない。
葛も涙にくれる。
[ドシャ!!]
吉法師の拳が繁丸の顔面を捉える。
繁丸の目玉が血と黄色い液体と共に跳びだす。
糸の切れた操り人形のように墜ちる繁丸。
吉法師が繁丸の頭を握りつけ、邪悪な笑みを浮かべて見下ろす。
「おぱぁぁああ!!」
鯉が水面で大きく息を吸うように口を開ける繁丸。
吉法師が掴んだ頭を投げ捨てる。その先には必死に神解きの呪を唱え続ける汗だくの楸。
血まみれの繁丸の身体がぶつかり、二人投げ出される。
「繁丸!!」
身体に押しつぶされた楸が繁丸を抱える。
繁丸の残眼が楸の顔を見つける。
口角が吊り上がる。
涎が糸を引く。
鼻腔から蒸気のように息が噴き出す。
繁丸が楸の巫女装束を毟り取る。
楸の豊かな乳房が弛み汗が弾ける。
「繁…!!」
驚き呼びかけるも乱暴な唇が言葉を塞ぐ。
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