第三章 神降し

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獣のごとく荒々しく唇を蹂躙し乳房をまさぐる繁丸。 引き剥がそうとするも楸に抗う力はない。 朱の袴は力任せにずり降ろされ腰巻はそのままに繁丸の一物が楸を突き上げる。 「グッ!!」 眉根を寄せ衝撃に耐える楸。 繁丸は前足を踏ん張る獅子のように楸の上に覆いかぶさり腰を激しく律動させる。 「だめ~!」 蓬が後ろから繁丸の腰に取りすがり押し留めようとするも律動は止まらない。 楸の白い腿が連られて動く。 ニヤニヤと見降ろしていた吉法師が祭壇に歩みより祀られていた剣を引き抜く。 草薙剣(くさなぎのつるぎ)を模したものだが真剣だ。 葛は内縛印を結び呪を唱える。 繁丸の背後に立つと刃を下にして剣を振り上げる吉法師。 足にしがみついた蓬を一蹴すると一撃のもとに二人を床まで貫き通す。 「ぐはッ!!」 鳩尾(みぞおち)を貫かれた繁丸の口から血飛沫が散る。 楸も目と口を目一杯開き、痛みに貫かれる。 「あ…あっ………楸様………」 繁丸の眼に正気の光が戻る。 「繁丸………二人を護って………」 楸が言葉を絞り出すと繁丸の首に腕を回して口づける。 「ぐっ!!」 剣の引き抜かれる激痛に耐える繁丸。 もう一度振り下ろそうと掲げた剣がピタリと止まる。 【霊縛法・不動金縛り】 葛が印を閉じる。 「オン バサラ アラタンノウ オンタラク ソワカ!!」 虚空蔵菩薩真言。 明らかな顕象が浮かび上がる。 焔を纏った拳を吉法師に叩きつける。 曼荼羅の掲げられた壁を突き破り吹き飛ばされる吉法師。
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