第一章 うつけの戯《たわむ》れ

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男は自分の下で苦悶の表情を浮かべ、ビクン、ビクンと震えている女を満足気に見下ろす。 この男の毎度の癖だ。挿入した後に動きを止めて見下ろすのは。 うっすらと朱に染まる汗ばんだ柔肌。暗がりの中にあっても(ほの)かに輝いているかのような乳房。無駄なく流麗(りゅうれい)な稜線を描く腰腹(こしはら)。一物をキュウキュウに締め付ける美斗。 極上だ。この女は極上だ。 男は女の更に奥へと一物を突き立てる。 「クゥッ!!」 その動きに呼応する痛みを堪える女の声。 「もっと力を抜け」 苦悶の女に命じるも、女にしてみればそれどころの事態ではない。 ますます身体に力がこもる。 今度は両肩を抑えた男はゆっくりと腰を上下させる。 しかし女の腰がそれに合わさって動くのでいい具合にならない。 両の太ももを抱え込むと僅かに腰を浮かせる。そして今度は女の身体ごと土床に押し込むように腰を突き立てる。 強い刺激に女が目を見開き口を開く。 「あぁ!!」 不意に漏れた女の嬌声(きょうせい)。男の耳に心地よく響く。 「良き声じゃ」 その声をまた響かせようと男は同じ角度で何度も突き立てる。 女は口を手で抑え眉根を寄せて懸命に耐える。 しかし男が抜き差しを繰り返すうちに、女の顔はすっかり朱に染まり、痛みだけでない感覚を味わい始めている様が見て取れる。 男は身体を寄せ、女の汗と涙でくしゃくしゃになった顔を舐める。 すると女が男の身体をギュッと抱きしめた。 お互いの身体が密に触れ合う。 男は腰を動かし続けたまま女の首の下に両腕を回す。 女は男の背中に腕を回し掌を組み合わせる。 女の腕に巻かれていた数珠が、手に握り替えられ手印が結ばれていることは気付かれていない。
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