第一章 うつけの戯《たわむ》れ

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「儂は、この戦乱を治め、天下を獲る。どうだ?儂の側室になれ!」 息を弾ませ(たかぶ)る感情を打ち付ける。 【天下獲り】などという大言壮語にもかかわらず、微塵の疑いも感じていない自信に満ち溢れた口ぶり。 その自信の源は男の背後に渦巻いている強大な力だ。 女はそれを感じ取っていた。 これまで【()き人】は何人か見てきた。しかしそれらの中でもこの男に憑いている【これ】は群を抜いて強大だ。 「あっ!あっ!あっ!…」 女の嬌声が抑制をなくし響き始める。 男はますます悦に()って腰を動かす。 「あ~!!くっ!!あっ!!あっ!!」 男は大きくなってきた声を、女が快楽に溺れ始めたのだと解釈している。 そのために気付いていない。 小屋の外、小さな音で鳴る(しゅ)に。 女の嬌声に促されるように男の欲情が(たか)まっていく。 強烈な腰圧で何度も突き立てる。 男が眉根をしかめ、昂まってくる情動を抑制する。 「どうじゃ?なぁ?どうじゃ?」 女の昂まりの具合を問う。 女は苦悶のまま二度うなずく。 それを合図に男はとどめにかかる。 「いくぞ!!」 男は女の中に精を放った。 「うぁ?」 これまで経験したことのない程の昂まりと、一気の放出感。 その途端に男の身体から力が抜けた。
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