プロポーズ

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 彼、星野和也(ほしのかずや)にプロポーズされたのは、彼が東京の大学を卒業したら、実家に戻るという告白と一緒にだった。  私、寺岡夜空(てらおかよぞら)は、その申し出に躊躇した。  私は生まれてからの二十七年間、ずっと東京暮らしだったのと、彼が実家に戻る理由が、ご両親の農業、畑仕事を手伝うためって事だったから。  ほかに理由を挙げるなら、彼は二十三歳の年下である事、結婚したら私は「星野夜空」などどいう、星の綺麗な彼の田舎にぴったりな名前になる事とか。  でも、最大の理由はやはり、私は畑仕事なんかやりたくない、だ。  私の夢は、小さくてもいいから、喫茶店を開きたいという事。そのために、今までずっと欲しいものも我慢して、貯金もしてきた。  その事を彼に言ったら 「君には絶対に農作業はやらせない。約束する」  と、言ってくれた。  喫茶店も、実家には土地が余ってるから、そこでやればいいと。  ちょうど、国道沿いにいい場所があるのだとか。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!