1.出会いと再会

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葉月は目を丸くして隣にいる優也を見上げた。 「ああ、葉月ちゃんには言ってなかったね。オレはサポートメンバー。バンドで表に立つのはコイツらだけ」 「でも、お前だってちゃんと歌詞で参加してるだろ」 ボソリと低い声が聞こえ、そちらを見ると、全体的に少々丸い印象の男性が、何の表情も無くこちらを見ていた。 このメンバーの中では少々地味な印象。黒の角刈りに近い短さの髪、ロゴ入りの白Tシャツの上にチェックのシャツを羽織っている。下はストレートの青色ジーンズ。 葉月の視線が再び彼の顔に向かうと、その細い目は完全に笑ってはいなかった。 一瞬、気に障る事でもしでかしたかと思ったが、優也は平然としているので、おそらく彼はこれが通常仕様なのだろう。 「初めまして。ドラム担当、島岡明(しまおか あきら)。この二人はウチの中でテンションが常に高すぎるから、ヤバいと思ったら避難して」 そう言って美沙と秀之を見やる。 その表情は、やはり変わらない。 本気なのか冗談なのか、葉月には判別がつかず、苦笑いでうなづいた。 「おい、明!初対面の葉月ちゃんに、何刷り込んでやがる!」 「初対面だから注意してるんだろ」 秀之が笑いながら突っ込むが、明は淡々と返すだけだ。 だが、葉月は会話の内容が少々不安になる。 ……ケンカしてる訳じゃないよね……? 「あ、明はコレが普通だから。初対面の人は大抵この無表情にビビるけど、俺たち全員承知の上でこのやり取りだから心配しないで良いよ」 「は……はい」 優也のフォローでようやく安心する。 何せ初対面×四人なのだ。それぞれ個性が強すぎる気がして、葉月は少々たじろぐ。 そんな中、ふと視線を感じ、葉月はそちらを見やる。 すると、先程ぶつかった、信、と呼ばれた彼が葉月を見つめていた。 そう気がついた瞬間、葉月の胸は激しく音を立てた。 ――……え?何?? 自分の意志とは関係無いところで、葉月の胸は鼓動を早める。 慌てて胸を抑えるが、彼が自分を見ているという事実で、症状は治まらなかった。 すると、信は一歩前に出ると、葉月に声をかけた。 「――……久しぶりだね、葉月ちゃん」 「え……?」 突然の挨拶に、葉月の思考回路が停止する事、約三十秒。
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