1.出会いと再会

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……え……っと……"久しぶり"……? 久しぶり、ってコトは……確か、少なくとも一回以上会った事のある人達の挨拶……だよね……? ……ってコトは、やっぱり、あたしはこの人に会っている……? その結果が導き出されるまで、信は根気よく葉月を待った。 それに気がつき、葉月は慌てて謝る。 「すっ……すみませんっ……!あたし……」 すると、信は一瞬だけ悲しそうに葉月を見ると、すぐに笑顔を見せた。 「良いよ、会ったって言ったってほんの少しの間だし。葉月ちゃん、まだ小学生だったから。改めて、藤堂信(とうどう しん)です。ヴォーカル担当……よろしく」 「……本当に……すみません……」 申し訳なさすぎて、葉月はうつむいた。 「あ、いや、仕方ないよ。それにオレすぐに引っ越したから、そんなに会ってた訳じゃないしさ。気にしないで」 信のフォローも、葉月の耳には届かない。 ……そんなに会ってなくても、忘れる訳が無いのに……。 そう思った自分が不思議で、葉月は答えを知りたくて、自分の中に入り込む。 それに気がついた優也が、軽く葉月の肩をたたいた。 「葉月ちゃん、どうする?帰る?」 「え、あ。……うん」 完全に現実逃避が始まる前に止めてくれたおかげで、葉月の意識は現実世界に戻ってきた。 優也に、この症状がどこまで気づかれているかは分からないが、おそらく予想はできているのだろう。 時々、葉月の肩などをたたいて、気づかせてくれるのがありがたい。 「あ、じゃあ、送って行くよ」 「え?」 てっきり優也が送るのかと思ったら、信がそう言い出し、葉月は戸惑う。 「ああ、頼むわ。俺はコイツらがペース上げないように見張ってるから」 「了解」 葉月本人に確認するでもなく、優也と信は、二人で完結した。 「あ……あの……」 「夕方って言っても、最近いろいろ危ないしさ」 「いえ、でも、家なんてすぐそばですから……」 会った事があるとはいえ、ほぼ初対面の人間と二人きりなど、気まずいだろうに。 すると、優也が部屋の中を移動しながら、葉月に告げる。 「心配しないで良いから。 そいつ、ウチのメンバーの中で一番無害だからね」 「え、いえ、そういう事じゃなくて……」 「早いトコ帰らないと、ココ、酔っ払いだらけになるよ」 「え」
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