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「お兄さん、時間大丈夫ですか?」
そう言われ、俺は腕時計を見た。
バスの時間が迫っている。
ここまで来た時間を考えるとギリギリだ。
まさか、死神に気を使われるなんて……
って、そんなこと思っている暇はない。
俺は勢いをつけ、下ってきた坂道を駆け上がる。
人間追い込まれるといつも以上の力を発揮できるというものは本当のようだ。
息は上がっているが、決して止まることはなかった。
歩きづらいと関係ない。
これを逃すと帰れないと事実が後ろから迫ってくるようだった。
「お兄さん、ファイト!」
相変わらず気楽な向日葵がムカつく。
何でも応援されているがそれは消えなかった。
それを口に出している余裕はない。
ただ足を前に出すことだけに集中した。
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