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バスで揺られること十数分。 目的地に到着した。 道中は街中を走っていたものの、トンネルを通り、山を登りと見飽きてきた景色が続いていた。 目的地に着き、バスを降りた。 お土産屋の反対側に砂丘があるらしい。 案内板に従って階段を登っていくと目の前が開けた。 眼下の砂丘には、広大という言葉がふさわしい。 初めて見るから驚きよりも感動だ。 そして、わくわく感が込み上がってきた。 デッキシューズを脱ぎ、その中に丸めた靴下を入れる。 砂丘への第一歩を踏みしめた。 伝わってくるのは、ぎゅっと砂を踏む感触。 素足で砂浜を歩くよりは熱くない。 何とも言えないちょうどいい温度。 これが砂丘かとしみじみ浸っていた。 「私のこと忘れてませんか?」 すうっと横から現れた。 ホラー映画のようだ。 あまりに突然過ぎてビクッとしてしまう。 忘れてないと言っておいた。
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