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「お兄さん! ラクダです、ラクダですよ!」 向日葵が興奮気味に叫んでいる。あっという間に興味が移っていた。 この叫び声が俺だけに聞こえている。 だからこそ言いたい、感動を返せと。 けれども、これ以上邪魔されたくないので、先に進んだ。 「ちょっと、待ってくださいよぉ!」 後ろから声が聞こえてきたが止まることはなかった。 それにしても、砂を歩くのは普通の道よりも疲れる。 遠くに見える山のような丘のような場所を目指すことにした。 「置いていくなんてひどいですよ」 「置いていくも何も、勝手についてきてるだけだろ?」 またむすっとした顔をした。そして、口を尖らせる。 「お兄さんは意地悪です」 出会ったばかりだろと突っ込みたくなったが堪える。 適当にあしらっておいた。 それでも着いてくるようでため息をついた。
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