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「さあ、登りましょう」
「お前は浮いているだろうが」
悔しくて登るスピードを速めた。
それでも踏み込むたびに一歩が重くなっていく。
運動不足の体にはキツかった。
「お兄さん、ファイト、ファイト!」
イライラを力に変える。
息を切らしながら登りきった。
服が汚れることを気にせずにその場に座り込んだ。
落ち着いてから顔を上げると、目に入ったのは海と空。
遠く地平線の先で交わっている。
向日葵に奪われた感動が蘇ってきた。
吹抜けていくが心地良く、火照った体を冷やしてくれた。
「いやぁ、本当にきれいですね」
向日葵は隣に腰掛けた。
先程の様子を見ていると座っているという概念が正しいのだろうか。
今は普通に座っているということにしておこう。
「波打ち際に行ってみませんか?」
下の方を見ると波が次から次へと打ち寄せている。
行ったら最後、また登らないといけないのか。
少し考えた。
悔いを残したくない。
ここは後先考えずに行動しよう。
「よし、行くか!」
立ち上がり、勢い良く坂を下っていく。
登ってきた時には考えられないぐらいのスピードが出ていた。
あっという間に下ることができた。
勢い余ってしばらく走り続けた。
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