第1章:マオ【因果応報】

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「だったら面倒な客、オレの店に連れて来なよ」 「えっ!?」 「売り上げアップに協力してくれる可愛い女の子探してるんだけど。マオちゃんも、楽してお小遣い稼ぎ……やらない?」 上機嫌に男は言うと、黒いバッグから白い錠剤の入った小袋を取り出した。 「何これ? ヤバイクスリ?」 「あはは、違うよ! レンドルミンD錠。いわゆる、睡眠導入剤だよ。粉々に砕いたコレをお酒にサッと入れて、客を眠らせちゃうのさ」 《所詮この世は金がすべて》 キャバ嬢になったのも、自分の好きなことをして金が欲しかったから。 「ねぇねぇ、その話詳しく聞かせてよ……」 わたしは下着姿で男に抱きついて、いつもの猫なで声を出した。 「良いよ。でもその前に……一発キメよっか」 悪魔の囁きに、わたしはいとも簡単に堕ちていった。
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