第1章:マオ【因果応報】

11/21
前へ
/322ページ
次へ
男から指示された方法は、意外と単純なものだった。 まず、ターゲットはろくに金も使わない面倒な客に限定して、ヤツらがほろ酔いになったところで太ももを撫でながら決められたセリフを囁く。 「今日、アフターで一緒に行きたいところがあるんだけど……」 これで、イチコロ。 ホント、性欲には抗えないよね。 一度しか寝ないわたしともう一回SEXができるかもしれないと勝手に期待したバカな客は、一瞬で食いついて来た。 そして、店からホテル街の方へ歩きながら何気なく男のバーの前で立ち止まって、 「エッチする前に、もうちょっとだけ飲みたいなぁ」 そう言ってカモを連れて行けば、あとは簡単。 客がトイレへ席を立ったところで、あらかじめ砕いておいた白い錠剤をグラスに手早く入れるだけ。 レンドルミンD錠は睡眠導入剤では珍しい、水なしでも口の中で溶けるタイプもある。 つまり、それをある程度細かくしておけば、お酒にも一瞬で溶けちゃうわけ。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加