第1章:マオ【因果応報】

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ホントならちょっとは苦みを感じるものも、お酒が入って性欲に駆られたバカな客たちには気付かれることはなかった。 30分ほどで薬が効き始めて、獲物は睡魔に落ちていく。 ここまでが、わたしの仕事。 「それじゃ、後はお願いしまーす」 笑顔を振りまいてバーの男たちに任せたら、早々に引き上げる。 クスリが切れた客が目覚めたあとは、べらぼうに高い飲み代を請求されて、反抗すれば恐ーいオジさんたちが出てくるってわけ。 騙された客はバックに控えるオジさんたちの恐怖と裏切られたことへのショックで、二度とわたしの店にやって来なかった。 男なんてホント、バカばっかり。 大好きなお金を稼いで、面倒な客ともオサラバできる。 この一石二鳥の仕事がわたしの楽しみになるのに、そう時間はかからなかった。
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