第1章:マオ【因果応報】

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ボンネットからの衝撃。 直後、アスファルトに叩き付けられた鈍い音が鼓膜を揺らして、頭から流れ出る血に目を疑う。 あれほど熱を帯びていたカラダが、急激に冷えていくのがわかった。 今はまだ、熱帯夜の続く8月。 それなのに、寒気が止まらない。 うつ伏せに倒れたまま起き上がることはもちろん、右を向いた首を動かすことすらできない。 わたしを跳ね飛ばした車が遠ざかって行く音が聞こえる。 イヤだ、誰か助けて! そんなことを考えていると、誰かの足音がこちらに近づいてきた。
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