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やがて、数秒間の沈黙を破るように先に口を開いたのは、銀髪の青年だった。
「あなたも、誰か大切な人を亡くされたんですか?」
まっすぐ見つめてくる彼のダークブラウンの瞳は、悲しみの色を浮かべている。
ヨウコにとって、亡くなった高橋や丸井巡査は大切な人……というわけではない。
だが、一先ずここは話を合わせておくべきか。
「ええ、親しくしていた方が事件に巻き込まれて……」
「一緒ですね……。僕もあの日、大切な友人を失いました」
そう言って青年はダウンジャケットの右ポケットから、新聞の切り抜きを1枚取り出した。
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