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しかし、視線が手の方へ向いた瞬間、ヤスヒトのダークブラウンの瞳が怪しい輝きを放っていたことに、ヨウコは気付かなかった。
献花台を離れ、駅前へ戻った2人は近くにあった喫茶店へ入った。
ここは以前、ヤスヒトに聞き込みを終えた藤原と一緒に来た店だ。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
ドアを開けるなり、まだ大学生くらいの若いウエイトレスが、可愛らしい笑顔を振りまく。
「ヨウコさん、タバコは吸います?」
「いいえ」
「じゃあ、あそこにしましょうか」
そう言ってヤスヒトが指差したのは、窓際の禁煙席。
―――― 同じ店……。同じ席……。
その偶然にヨウコは少し違和感を覚えたが、ヤスヒトに促され席に着いた。
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