第12章:邂逅遭遇 2

20/23
前へ
/322ページ
次へ
それから数分と待たずに運ばれてきたコーヒーの香りにヤスヒトは満足気な表情を浮かべると、カップを手に取る。 流れるようなその動きにヨウコは思わず見とれそうになったが、自戒してこう切り出した。 「影野さんは、学生さん?」 「はい、今は按摩マッサージ指圧師の資格を取るために渋谷にある専門学校へ通ってます」 「マッサージ師の専門学校って、3年制ですか?」 「そうです。普段は午前中に学校へ行って、午後からマッサージ院で研修なんですけど、今日は休みになったので」 「大変ですね。一番遊びたい年頃でしょうに」 「いえ、自分のやりたい事の為ですから。ヨウコさんは、何のお仕事をされてるんですか?」 突然の質問に対する、一瞬の沈黙。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加