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まさか、ヤスヒトに心を奪われてしまったとでも言うのだろうか。
―――― さっき知り合ったばかりの、一回りも違う男に? いやいや。いくら整った顔をしているとはいえ、そんなバカなことあるはずがない……。
そう思う反面、ヤスヒトと言葉を交わす度にざわつく自分の胸中。
ペースを乱されているのは間違いなくヨウコの方だった。
その後も、お互いの私生活に関するたわいのない話をしながら、冷静さを保つことに意識を集中しているうちに、気付けば窓の外はすっかり暗くなっていた。
店の壁に掛けられた時計の針は、午後5時20分を示している。
「さて、そろそろ行きましょうか」
喫茶店を出た2人は駅の方へ戻り、パルコの隣にある地下道を抜けて北口へ向かった。
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