第13章:邂逅遭遇 3

8/20
前へ
/322ページ
次へ
「……カンパイ」 甲高い音を奏でながら、ヨウコはヤスヒトとグラスを合わせた。 そして、一口喉に流し込んだところでヤスヒトの淡々とした声が鼓膜を揺らす。 「リナさんは、ここの近くにあるブラックフェザーっていうキャバクラに勤めていたんです。5年以上もNo.1の座をキープしてきた彼女を僕は尊敬していました……」 「へぇ……。影野さんもそのお店に行ったことが?」 「いえいえ、さすがに学生の僕にはそんな金銭的余裕はないですよ」 「ああ、そうですよね。彼女はどんな方だったんですか?」 「リナさんは、両親に仕送りする為に水商売を選んだそうで、すごく真面目な方でした。枕営業ばかりしてる後輩がNo.2にいたらしいんですけど、リナさんはたとえお金の為でもカラダだけは売ってはダメだって、よくグチを零してました」 「なるほど……。彼女にとってあなたは相談相手でもあったんですね」
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加