第2章:トキコ【厚顔無恥】

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「ただいま~」 玄関のドアを開けるなり、同居している私の母親が鬼の形相でこちらへ向かってきた。 「あんた、こんな時間まで自分の息子を放ったらかして、どこ行ってたの!?」 「うるっさいな~。別に隼人(ハヤト)も、もう中学生なんだから、大丈夫でしょ?」 「何言ってるの! 隼人くん、38度の高熱出して学校を早退して来たのよ! 父親は海外に年中出張で居ないのに、母親のあんたまでフラフラしてたら息子がどう思うのか、少しは考えなさい!」 「はいはい。明日から気を付けますよ……」 自分のお腹を痛めて産んだ子供とはいえ、無償の愛情を注げるとは限らない。 理由はわからないけど、現に私は隼人のことなんて心配する気持ちすら起きなかった。 子供ができてから旦那とはSEXしてないし、ママ友との付き合いも面倒だし。 子育てよりも、遊びが大事。 実の母親に怒鳴られた私は素知らぬ顔で自分の部屋へ行き、苛立ちをぶつけるように音を立てて扉を閉めた。
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