第3章:トキコ【厚顔無恥 2】

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「ぐっ……や……めて……」 顔面を真っ赤にしながら必死に抵抗するその姿に、私は笑いながら更に力を込めていく。 手のひらから伝わる母親の拍動と、筋肉が軋む音。 何、これ? 人を殺す感覚って、こんなに気持ち良いの? 「私に指図するんじゃないわよ! さっきの銀髪の男も、必ず痛い目に合わせてやるんだから!」 そう言って更に力を強めた、次の瞬間。 学校を休んでいた隼人が只ならぬ物音に異変を感じて、部屋から出て来た。 目の前に広がる光景が信じられないと言わんばかりに、彼の顔面は見る見るうちに蒼ざめていく。 「……何やってんだよ!」 隼人は私を突き飛ばし、フローリングに横たわる母親に慌てて駆け寄った。
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