第4章:ユリ【臥薪嘗胆】

2/14
前へ
/322ページ
次へ
「あんたなんか産まなければ良かった!」 私は小学校の入学式の日、帰宅するなりお母さんに殴られた。 「あんたのせいで、下村とかいう非常識な夫婦に私までバカにされたじゃない!」 どうしてお母さんがこんなに怒っているのか。 どうして自分が殴られ、罵声を浴びなければいけないのか。 「入学おめでとう」という言葉すらかけてもらえない理由が、あの頃の私には、全くわからなかった。 あまりのショックに涙すら出ない。 ただ、口の中に広がる血の味だけがとても気持ち悪かった……。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加