第4章:ユリ【臥薪嘗胆】

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小学5年生になると、お母さんの要求は更に強くなった。 毎週行われる国語と算数のテスト。 初めのうちは満点を取り続けていたけど、ある日1問だけ間違えてしまったの。 「なんでこんな簡単な問題で100点が取れないの!」 満点ではないことを理由に顔面を思い切りひっぱたかれた。 左頬に走った痛み。 それと同時に口の中は切れ、血の味が広がる。 またこの味……。 頭に血が上ったお母さんは、ランドセルの中身を乱暴に取り出して、小学校で使う国語と算数の教科書の表紙をビリビリに破いた。 どうして、そんなことをするの? 子供ながらに自分の母親の行動は、異常だと思った。 どうしよう……。 このままじゃ、学校に持って行けないよ。 私は泣きながら、教科書の表紙をセロテープで貼り付けた。
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