曇りの日の例外。

1/16
177人が本棚に入れています
本棚に追加
/491ページ

曇りの日の例外。

11月7日の立冬が過ぎた今の時期は、もう暦では冬にです。  秋が過ぎて……日はかなり落ちるのが早くなってきました。  日が落ちるのが早いからでしょうか、最近杉原先輩は私を自宅に早く送ってくれるようになりました。  それが……私には少し、いえ…だいぶ淋しい気持ちになっていました。  私を思ってくれて早く送ってくれているのでしょうか?……と思うと心配してくれている気持ちは嬉しいのですが、……両思いになったのですから少しでも長く杉原先輩と一緒にいたいと思うのは私のワガママでしょうか?  それに他の三年生は進路について忙しそうなのに、杉原先輩だけはいつも通りです。 (……それは前に小雪さんが言っていた『茶道の分家を継ぐ』からなのでしょうか……?) 「なぁに?叶はまた考え事なの」 「……ぇ」  私は顔を上げると、立ち止まっていた杉原先輩に軽くトスッとぶつかってしまう。  先輩はあの困ったような笑顔で私を見下ろしていました。 「……淋しいって顔に書いてあるよ?」  先輩に言い当てられてしまって、私は目を背けました。 「………別に書いてません」  ……私は子供ですね。  余裕が全くないんです。     
/491ページ

最初のコメントを投稿しよう!