暗雲と快晴。

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すると、コウスケ君が俺の手を握って 「今田 丈一郎さん。 ぼくの、恋人になっていただけますか?」 と言った。 「…俺、いいとこなんてないよ? 家から出ないし、家事もできないし、頭ん中漫画の空想とか妄想しかないし、 見た目も、こんなだし。」 コウスケ君が俺の手を握りながら、"うん、うん"と話を聞いてくれる。 「でも、こんなどうしようもない俺だけど 、コウスケ君の恋人にさせてください。」 コウスケ君は言葉を言い終わると同時に俺を強く抱きしめた。 「ありがとう、」 「わ、危な…」 ガタン! 俺とコウスケ君は椅子から転げ落ちて床に寝転んだ。 「大丈夫?ごめん、すぐ退くから…」 俺がまるでコウスケ君の上に乗ってしまった。 「ふふ、大丈夫です。わざとですから。」 「えっ」 「今田さんに嫌われたのかと思ってたから、触れられてる喜びを噛み締めてるんです。」
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