オオクワガタアント ナンバーズ達の場合

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 地底深くまで巣を作る習性。大きく育った顎は唯一の武器となる、四足歩行で、且つ二本の腕を持つ、見た目はクワガタ虫、習性は蟻。大きさは大型犬くらいの見た目で、主に群れを成して行動する、多すぎるその名前は番号によって管理されていた――――  ナンバー117。  それが僕の名前だ......冬の寒い地上には出なくても大丈夫なように、夏のうちから、餌を与える。その甲斐あって今年も暖かく新年を迎えることができた――――  お年玉として一匹につき、千ゴールド。この巣の中で戦える者は二百以上いる、その一匹一匹に、千ゴールドとなると相当な額だ。それを惜しげもなく魔王様は与えて下さった。  僕達は驚きを隠せないでいた、千ゴールドともなると、モンスターの街『モンドドモンド』に売っている物はほとんど買う事が出来るだろう。  武器を買いたいと言う者、いやいや防具だ、と言う者、皆が口々に夢のような計らいに感謝し、浮かれていた。 「魔王様を喜ばせる物を買おうよ!」  僕が隣の【ナンバー97】に言うと、それが広がり共感したのか次々と賛同してくれると、僕は【お年玉の使い道の会】代表として使い方を委ねられた。  魔王様の喜びそうな食事、贈り物......  いや、魔王様の望みは勇者達を殺す事だ!  とはいえ僕達が何匹束になったところで、勇者の足元にも及ばないだろう。  この場所から、山を二つ越えて海を渡った先にある破路輪苦神殿(ハロワクしんでん)と呼ばれる所に【転職の本】という本があると聞く、高価で取り引きされているが、これに名前を書き、儀式をすれば違うモンスターに転職する事が出来る。  例えばドラゴンなんてどうだ。何倍もある頭上から吐く灼熱の炎で勇者なんかひとたまりもないだろう。ましてそのドラゴンが、これだけの数......間違いなく勝てる。勝利を確信できる――――  魔王様を喜ばせる為ならと、僕は皆と相談し、巣の中の代表十匹で神殿へ向かう事にした。と言っても【モンドドモンド】の道具屋でワープ草を食べてひとっ飛びなのだが――
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