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二日目の晩、早矢兎は寝苦しさに目を覚ました。
床の上に仰臥していた筈なのに覚醒と眠りの狭間で、覚えのある空間の中を躰が漂っていた。
「ふん…随分となめられたものですね。貴方も貴方だ、あの様な男の口車に乗せられて黙って出されたものを飲んでいるとは…まあ疑っていたからうちに来たのでしょうが、私への…いや羊字への信頼が足りていないのでしょうか?」
虎彦の声だと認めた瞬間暗闇の中で早矢兎ははっきりと意識を掴んだ。
「虎彦さん?」
目を開くと暗闇の中荒い息遣いの獣が自分に覆いかぶさっている気配がする。
何の根拠もなくこの生き物が虎彦であると直感したが、不思議と恐怖心は湧いてこなかった。そうだこれは夢なのだから何も不思議な事はない。
獣はその湿った鼻先で早矢兎の顎を撫で上げて味見をするかの様に一度口を重ねた。二度三度と唇を鼻先で擦って押し開くと舌が口の中に入り蠢いた。濃厚な甘い匂いの中に微かに辛味を感じさせる芳香が鼻腔をくすぐる。乱暴に侵入した癖に焦らす様に舌先を躱す動きに酔いながら、これは獣ではなく矢張り幻獣の類かと早矢兎は考えた。
その甘く生暖かい感触はすぐに官能を擽って早矢兎の身体の芯から欲望を引きずり出す。
ああ、あの時と同じだ…下半身が疼いて、等間隔の強い脈動が心地良い痺れをもたらしている。直ぐにでも吐き出してしまいたい程熱が高まってゆく。
遠くから嬉しそうに震える虎彦の声が聞こえた。
「苦しいでしょう、直ぐに弾けそうですね。貴方の証にあんな処方をされては堪りませんね。まあでもお陰で私がこうして貴方の精を貰えるのだから一応感謝してはおりますが」
獣の気配の儘人の手らしきものが寝巻の隙間から入り込んでひとしきり腹を撫でた。手は下に移動して裾をはだけさせ硬くそそり立った其処か露わになる。ひたすら暗い空間で一瞬金色の光が煌めき人でない生き物が喜びに喉を震わす音が聞こえる。
下着が解かれざらざらした舌がその先の滴りを舐め取って行く。その感触に腰から背中伝いにビリビリと電気の様なものが後頭部に向かって走った。細かな肉の棘で梳る様に何度も舐め上げられた後、先端を含まれて数回吸われただけで早矢兎はあっさりと達した。
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