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「とりあえず、宿を探さない?」
とリンが言ってきたが
「それは良いが…、泊まれるほど金無いぞ?」
と、俺は正直に言う。
「え、お兄なんで?まさか、無駄遣い?」
「なんでそうなるんだ。ポケモンの育成とメガストーンに使ったじゃないか。」
そう。俺は先日、優勝賞品がメガストーンのバトル大会に出たため、育成とその大会に出場するための費用として、ほぼ使ったのだ。
「そういう事なら、私が肩代わりするよ。」
「えっ、良いのか?」
「実際、私がメガシンカ使えるのはゼロ君が大会でクチートナイトを入手したのを私が貰ったからだしそれに、この中で主戦力で1番頑張ってるのはどう考えてもゼロ君だから、ね。こういう時くらいは甘えなよ。」
ここまで言われたら、
「ならお言葉に甘えさせてもらうよ。ありがとうリン。」
「それとお兄は実際中性的な顔付きだから、いつ襲われるか分からないのも不安ですよね。」
「そうそう、それが一番かな。」
「一番はそれかよ…。」
と、こんなやりとりをしながら俺達3人は宿に入り、チェックインを済ませた。
そしてその夜、俺達3人が泊まる部屋の戸をノックする音が聞こえてきた。
「ん?誰だこんな時間に。」
と言い、俺はドアを開けた。
そこには、ストレートパーマがかった赤みがかった茶色の長髪を後ろに繋ぎ、眼鏡をかけた美女がいた。
「私は神川百合夏。このゲームではユリカと名乗っているので、そちらでお願いします。それとボスポケモンがいます。普通は入手できませんが、コレを持っていれば倒した後に捕獲タイムが与えられます。捕獲に成功したボスポケモンは貴方達の力になってくれる筈です。」
と言い、俺達に渡してきた。
「このゲーム、あながち俺らだけ不利ってことはないみたいだな。」
と俺が言うと、ユリカは
「あなた方を不利になんてさせません、絶対に!クロキ…あの人は前々から何を考えているか分からない人だったけど、まさか、こんな大変な事を仕出かすなんて…!それに…このゲームには私の大切な人も閉じ込められているの…クロキとは恋人とは言っても、それは形だけ…クロキは私の許婚なだけなんです…私が本当に好きな人は、このゲームの中にいるんです…。クロキは私を手に入れるために、きっとその人を消そうとしているのよ…でも、私が中にいると分かればこんな馬鹿げた事止めてくれるかもしれないわ。」
と言う。
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