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「コイツは普通の日本刀じゃねぇ、鋼鉄でも余裕に切り裂く」
体勢を立て直しながら、眷属の残骸にそう言うと、青年は別の眷属に素早く斬りかかる。
次のターゲットになった眷属も、一瞬で頭部を斬り落とされた。さらに青年は残りの二機の眷属も、マントを翻しながら余裕で斬り伏せてゆく。劇場内に、斬られた眷属が床に崩れる音がこだまする。
全ての眷属を破壊し、青年は額の汗を拭いながら一息つく。しかし、その油断がいけなかった。青年の背後、闇の中から音もなく眷属の足が現れる。そして、眷属の足が青年の背中を貫こうとしたそのときだった。
ドゴォオ!!
眷属の機体が、何かの衝撃でバラバラに砕けた。
青年が驚いて振り向くと、壊れた眷属から出る火花と煙の向こうに、あの少女が立っていた。
「何っ?! まだいたのか?! いや、そもそもアンタはいったい…?!」
状況がよくのみ込めず、狼狽える青年。少女は火花越しに、わずかに見える口元に微笑みを浮かべながら、いや挑発的な笑みを浮かべながら、後ろで束ねているらしい長い髪をゆらしつかつかと青年に近づきながら言った。
「気を付けたほうがいいねぇ、このタイプの眷属は、動く音をほぼ消せる」
ここでようやく少女の容姿が、はっきり確認できる。
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