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かぐや姫とモモ太郎。
さてさて、モモ太郎一行が桃太郎を退治して京の都に滞在をはじめてから、早一ヶ月くらいが経った今日この頃。
苦労して手にした✕汚物食わせて奪った○お宝を質屋で適正価格✕松明かざして恐喝○して引きずり出した、リアカー2台分の零れ落ちそうな山盛り大判小判をザ〜ック♪ザ〜ック♪ザックザク♪♪の大金を、たったの二日で美少女三妖怪が使い果たし、そのあいだ宿屋の柱にフンドシ一丁で縛り付けられたモモ太郎は、一銭たりとも使わせて貰えないまま、座敷に山と積まれた金山が、まるで砂場に作られた棒倒しの砂山をガッツリえぐり取られ崩されていくのを泣き叫びながら見せつけられていまモモ太郎は、日銭稼ぎの行商になれと脅迫され追い出されていたのだった。
「あー‥‥。竹やー竿竹ー‥‥が、積めるリアカー‥‥。は、いらんかねー‥‥2台で2億円」
安いリアカーはいらんかねー。
と、マッチ売りの少女ならぬ【使い古しのリアカー売りのオッサン】などと言う職に、三妖怪に頭をナデナデされて手を優しくサワサワされたりなんかして(理不尽な暴力)骨砕かれながら無理クリ金稼ぎさせられるモモ太郎は、京都の郊外、いわゆる洛外の山を背にした割と広大な竹林の小路を通りつつ、チラチラ竹林の中に厳かに豪奢に佇む寝殿造りの豪華な屋敷を、一定の感覚を保ちながら注視し続けていた。
「ん?・ったのモモ太郎くん?」
なんか付いて来ていたタヌキの少女妖怪が、リアカーの荷台に乗って一切手伝わないで運ばれるままでいた。
「タヌ子さんよ。・(ドット)を使って会話すんな。ちなみにどういう意味?」
「・(ドット)ったのモモ太郎くん」
「お前それだと『ドットたのモモ太郎くん』だろ!どったのモモ太郎くんって普通にしゃべれよ!わかんねーよがれ!」
「よがらない!」
ギャアギャア!ギャアギャア!
モモ太郎一行名物の内輪もめをひとしきり繰り広げたあと、タヌキの頭の中は女の子でもキャン玉袋(しかも玉なし)なんだと納得したモモ太郎は、
「ところでなんでお前乗ってんの?」
と、のんきに寝転がり、ひょうたんの水筒の口を開けやたらと高価な酒をグイッと仰いでいるタヌキの妖怪に質問する。
「うへ?モモ太郎くんがひとりだと寂しいとおもって着いてきたよ♪」
「そうか、ありがとう。でも手伝わないでお荷物なんだね」
「見て、タヌ子が指折りしてくれた十本指が全部関節外されて根本からホラ、チン○ンブラブラよりもっとブラブラしてるんですけど‥‥?」
そんな手でどうやってリアカーを2台縦に縄で括ってつなげて、ここまでヤツがこれを引っ張って来たのか、これがよくわからない。
「へぇ〜そうなんだね〜❀大変だね✿」
「ひとごとなの?治して?」
「ねぇモモ太郎くんは、なんでこんな竹ばっかりのところにきたの?」
「ねぇ。まずボキのお話聞いて?」
タヌキのキャン玉袋製頭脳では、皮ばかり広がって思考という点ではまるで使えないだろうからな。せいぜい、仕方ない。
そうだらしなくハゲ散らかしまくりでは、おそらく日ノ本一のモモ太郎は妙に合点して、さて、アホウでは世界一であろうタヌ子のだらしなく緩みまくったバカヅラに、鼻クソでも丸めて盛大に投げつけてやろうかと思い至った。
いつの間にか鼻ほじりたさの気合から治った両手の指を両鼻の穴に全部突っ込んで、ドラム式洗濯機の脱水作業よりも、さらにスクリュードライバー!ハリケーンタイフーン!自分の鼻にダブルでドリルミサイルをかまして採掘作業をガッツリ開始した!
「あう!わかたー!」
「はい?チミは一体なにがわかったの!?」
採掘作業の指は止めず、モモ太郎はナニカほざき始めたタヌ子を横目でみる。
「アレだよ!アレアレ!モモ太郎くんはモモだから竹が大好物なんだよ!だから竹たくさんに来たんだよ!」
「パンダ!?もうアンタが話す全てが意味不明たくさん過ぎてわからない!!」
ナニナニナーゼ?!
モモ太郎のモモから、しかも100パー割引の腐った鳥肉のモモから連想して、どうやったら竹が大好物な謎生命体が誕生するのか?!
思わず突っ込みまくっていた全指が突撃して、間違って脳みそかき回していた。
「ね、ねぇ‥‥。マジでお前の頭蓋骨はタヌキのキャタマ袋で出来てんじゃないのぉーー!?」
中身空洞で‥‥。
「あっ!スッゴイ可愛いひと発見!お姫様みたーい!」
「だから!ひとの話を聞けよ!って、ああ、アレか」
竹林の向こう。
丁寧に手入れされた竹の茂る狭間から、チラリズムして確認できた御姿は、昨今、京都中の人々を騒がす絶世の美少女【かぐや姫】であった。
「あの子、ホントに可愛らしいですよねぇ♪」
ほう。
と、珍しくタヌ子が感嘆の暖かな声をあげる。
ふーん。こんな頭がキツネ寿司のキツネ部分しかない奴でも、人の容姿を正しく評価する知恵はあるんだな。
こんな言葉を聞くまでは‥‥。
「あんな綺麗な子。売ったらいくらくらいになるのかな〜〜♪」
発言がクズだった。
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