かぐや姫とモモ太郎。

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「ワレなにしとんじゃあーーっ!こりゃあーーっ!!」 「うふん♪もっと強くゴシゴシしてくんなまし♡」 「だから股間すりつけんな!コスコスすんなって!もう!やーーだ!!」  でん!  モモ太郎は新しい性の悦びに歓喜する花咲爺さんをはねのけ、ズンッとマッパで立ち上がった。  あれ?竹取の翁だっけこいつ?まあ、どっちもジジイに変わりあるまい。 「お前だれだよ!ここでなにしてる!?」 『ちみにナニされて勃起してたん♪』  ひぃぃいい〜〜〜〜っ!!  ズザザザザァーーーーー!!  シュババババッ!!  恐怖を感じたモモ太郎は俊足で後ずさったが、またもひっつき虫みたいにくっついたジジイを振りほどけはしなかった。  奴は、足の指を立て、まるで湖の上を優雅に泳ぐ、白鳥の水面下の足のように小刻みに猛スピードで芋虫みたいに足指だけを動かして、こっちにピッタリついてきてたまらない。  くっそ気持ち悪い。 「やべぇ‥‥にげれねぇー。それに俺の初体験、うんにゃ、初コキの相手がジジイなんて、って!初体験が初コキってなんだそりゃ!!」  モモ太郎は、ついさっきまでの幸せに満ち溢れ性の悦びに(むせ)び泣いていた時間を、今まさに取り戻したい心境に陥って、またもオイオイ泣き始めた。 「どったのモモ太郎くん。道端に落ちてるカリントウでも食べてお腹痛くなったの?」 「タヌ子よ、ひとつ賢くなること教えといてやるね。道端に転がってるカリントウみたいな物体はね。犬のうんこだよ。そしてオレの緊急事態にも興味を持ってくれよ」  拾った小枝の棒きれを箸にして、野良犬のうんこをつかもうとしているアホタヌキ妖怪に真実を告げてあげ、犬のうんこに負けた自らの存在価値に悲しみが沸き起こって更に涙がチョチョ切れて止まらない。 「そうなの?こんなにカリントウにそっくしなのに?」 「食べられないよ?気をつけて。そして重ねて言うけどオレの悲惨な身の上に可能性を見出して?」  うん?ナニナニ可能性?よくわかんないけど、あたしがお腹いっぱいになるのに大事なはなしかな?なら聞くよ? 「だめだぁーーー!!こいつぅーーー!!食い物のことしか考えてねぇーーーーーー!!」  自分の存在意義が、マジで犬のクソ以下にオレの価値基準は低いのかっ!! 『バイ』 「あ?ばい?」  突然なに言い出すだ?このジジイは。  ニヤリ、不敵に頬をつけて微笑むジジイの息が荒い。しかもフローラルな香りだ。殴りたい。 「バイって何?モモ太郎くん」 「ばい。ああ、ほらアレだよ。アレ。オートバイのバイのことだよ」 「オートバイならバイクじゃないの?モモ太郎くん」  正論だ。  オレはこんな道端のうんこをカリントウとして捕食しようとしていた、糞みたいな脳みそを持つこの見た目だけなら丸顔の超美少女に、もはや恨みに似た感情しか浮かばなかった。 『そうじゃ!儂はその今をときめくオートバイ様じゃーーい!』 「サラッと嘘つくんじゃねーーーよ!クソジジイ!!お前バイセクシャル様じゃろーーーがぁあああーーいっ!!」  バイセクシャル。  古代日本どころか世界中で脈々と続く、伝統で文化の結晶な性行動。  藤原頼長だ〜て♪足利義満だ〜て♪織田信長だ〜て♪武田信玄だ〜て♪松尾芭蕉だ〜て♪その他の人々だ〜て♪みんなみんな♪両性愛者(バイセクシャル)なんだ♪トモダチな〜ん〜だぁ〜♪  ちなみにボノボもシャチもイルカなんかもバイセクシャルを嗜まれていらせられるのは、割と有名な事実である。  うん。ちょっと稚児と遊んでくる。  だが、股間の大根や人参やキュウリやえのき茸には全くサラサラ前代未聞に興味がないモモ太郎は、兎にも角にも【かぐや姫の壺】に、自分のナメコで胞子をバラマキ、二人仲良くナメコ栽培に励んでみたいと思って仕方がないのだ。  つまり、ジジイの趣味なぞどうでも良かったのだ。
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