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「はとざき かりん」
「はい」
朝の会の初めには必ず出欠を取る決まりがある。先生の声が、私の名前を唱える時だけはしっかり返事をして、後は心の小部屋に引きこもってシャットアウトする。
クラスメイトに興味はない。
流行りの話題も必要ない。
私に興味を持たれても相手にしない。
最初から友達なんて求めてない。
先生が私の視界に入ってきて、目を覗き込んでくるのが何となく見えた気がして意識を戻すと、途端に肉声が耳から脳内へと流れ込んできた。密閉空間が外界と繋がった瞬間の解放感は案外好きだったりする。
「夏鈴、なんだか顔色悪いけど朝飯ちゃんと食べてきたのか?」
心配そうに話しかけてきた先生は、私の顔色ばかりを気にしている。
周囲の視線が集まってきて、ヒソヒソと私のことを噂する雑音までもが脳内に届いてきて、耳の奥から不快感が溢れ出すと、それが顔に出てしまう。
「吐きそうな顔になったな…。今から保健室に行ってきなさい」
「…はい」
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