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「そういえば、疫病神さんと握手をしましたっけ」
彼と握手した時の事を思い出し、空中に伸ばしている手を握手の形にしてみる。すると一度経験した事がある温もりが心の中へと伝わってきた。その温もりは私の身体を暖炉の暖かさの如く、じんわりと優しく身体の芯から温もりを与えてくれたのだ。
「そこに、居るの?」
返答はない。だけれど、強く手を握られたような気がした。気の所為かも知れない、頭が可笑しくなっているだけかも知れない。それでも、私は構わなかった。彼との繋がりがまだ途絶えていないのだと思えたから。
「私頑張るから、頑張って友達を作ってみせるから。だから、傍に居て下さい」
本当に傍に居てくれているか分からないけれど、少しだけ彼から勇気を貰った気がした。友達から贈られたプレゼントに恥じぬように、友達が安心してくれるように頑張ろうと心に決める。
もし、私に心の底から信じられる二番目の友達が出来たら教えてあげよう。私には捻くれているけれど、とても優しくて大切な友達が側に居てくれている事を――。
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