3人が本棚に入れています
本棚に追加
奈波の浴衣姿。
想像しただけで心臓の鼓動が速くなるのがわかった。
実際に会ってしまったら、自分の抑えていた気持ちが溢れて止まらなくなっていたかもしれない。
そう考えると、会いたかったという気持ちよりも会わなくて良かったという気持ちの方が大きくなる。
そう、それでいいんだ。
「でさ、圭ちゃんが花火の時間に休憩くれたから花火を見に行ったんだけどさ。ゆっこも拓未も後輩に呼ばれて結局奈波と2人で見たんだ。」
洋人が話を続ける。
きっとその時を思い出しているのだろう、少し照れ臭そうにはにかんでいる。
また、俺の胸の奥がズキンとする。
しかし、その後洋人は少しだけ切ない表情を浮かべる。
「なんかさ、ゆっこが最初にいなくなって奈波と拓未が2人で場所取りに行ったんだけど、その後奈波だけ俺んとこに戻ってきてさ。2人で花火を見てる時に奈波が泣いてた気がして泣いてたか聞いたら、なんかはぐらかされて。最後は笑ってくれたけど。」
洋人のその言葉を聞いて俺は思わず洋人を凝視する。
最初のコメントを投稿しよう!