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こんがりと絶妙な焼き色に仕上がったローストチキン。
真新しい白雪のようなホールケーキ。
シュワシュワと泡をたてる二人分のシャンパンとシャンメリー。
そしてサンタ帽の下で、可憐に頬笑む君。
「へへ、この豪華なクリスマスディナー見たら兄さんびっくりするだろうな。先生が手伝ってくれたおかげだよ!ありがと!!」
そう言って天使のようにはにかむ彼は、家庭教師先の俺の生徒、音翔。
両親の再婚で家族になった義兄と初めて過ごすクリスマスを思い出に残るものにしたいらしく、兄のために頑張る姿は健気で微笑ましい。
が、問題はその兄の方で……
ガチャリ
玄関の鍵を回す音。
あいつの気配を察知して、こちらから音翔に仕掛ける。
「音翔。サンタ帽歪んでるから直してやる。じっとしてろよ?」
「えっ、ちょっ……!うわっ!!」
ソファーに座る音翔を押し倒したところで、タイミング良くリビングの扉が開いた。
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