あいをさけぶコンクール

6/7
前へ
/7ページ
次へ
「あなたと連れ添って七十年。良いことも悪いこともあり、私は背中が曲がり杖をついて、あなたは歩けなくなり車椅子に乗っている」 車椅子の女性は穏やかな笑みを浮かべて続きを聞く。 「七十年連れ添って、お互いに体が不自由になったが不幸なんてことはない。あなたは、どんどん、どんどん綺麗になる。私は、どんどん、どんどん、あなたが好きになる」 会場は静かになる。 老人の小さな声が染み渡る。 「あなたの手となり、耳となり、いつか天国に行くときまで、あなたを好きでいたい……。ずっとずっと、あなたに惚れている。ずっとずっと言えなかった。こんな場所でしか伝えられない私だが、この世で一番大事なものは、あなただ。これからも側にいてください」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加