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「あなたと連れ添って七十年。良いことも悪いこともあり、私は背中が曲がり杖をついて、あなたは歩けなくなり車椅子に乗っている」
車椅子の女性は穏やかな笑みを浮かべて続きを聞く。
「七十年連れ添って、お互いに体が不自由になったが不幸なんてことはない。あなたは、どんどん、どんどん綺麗になる。私は、どんどん、どんどん、あなたが好きになる」
会場は静かになる。
老人の小さな声が染み渡る。
「あなたの手となり、耳となり、いつか天国に行くときまで、あなたを好きでいたい……。ずっとずっと、あなたに惚れている。ずっとずっと言えなかった。こんな場所でしか伝えられない私だが、この世で一番大事なものは、あなただ。これからも側にいてください」
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