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空を見れば、君に繋がる。
遠距離恋愛三年目突入。
会えるのは一ヶ月に一、二回。
今は専ら無料通話アプリを使っての言葉のやり取り。
仕事のせいで発生する彼と私の生活の逆転。
一日に重なる時間は極僅か。
もっと話をしたいのに。
楽しい話を。
あなたの笑顔を思い浮かべながら。
なのに、あなたは最近『ごめん』ばかり。
起こしてごめん。
一緒にいてやれなくてごめん。
忙しいのにごめんな。
遅くにごめん。
ごめん。
ごめん。
ごめん。
別に謝って欲しい訳じゃない。
謝られる度不安になる。
重荷になっているのかとか、もう別れたいと思ってんのかなとか。
そんな、悪い事ばかりが頭を過る。
お願い。
もう謝らないで。
お互い様、じゃだめ?
あなたと会話したいから起きてただけ。
私も夢を叶えるためだから、離れることを選んだの。
あなたが居るから多少きつくても頑張れる。
あなたの言葉に触れたいから、バイブの微かな音に目が覚めただけ。
だから、気にしないで。
謝らないで。
嫌いにならないで。
大好きなの。
お願い、伝わって。
『明日ね、流星群が見えるんだって。私もベランダから毛布にくるまって見るの』
『同時に空、眺めようか』
『良いね。空で待ち合わせ』
『ごめん』が一度も出てこない会話はいつ振りだっただろうか。
何て楽しい。
何て幸せ。
今まで「大丈夫」と何度も自分に言い聞かせてきた。
好きになればなる程臆病になって。
不安になって、掻き混ぜられて。
その度に、あなたに溺れて『好き』が一層強くなる。
ねえ、知ってた?
私があなたをどれ程大好きなのか。
離れていても、ほら。
毎日会えなくも、謝らないで。
どちらが悪いわけでもないのよ?
私達。
同じ流星群を今、一緒に眺めてるじゃない。
『私、三個目見付けた』
『勝った。俺もう五個目』
話したかったのは、こんな他愛もない言葉。
謝りの言葉なんかもう要らない。
ありのままを受け入れる覚悟なんて、ずっと前から出来ている。
それで幸せ。
それが幸せ。
ほら。
だから大丈夫。
会えなくても、空を見れば君に繋がる。
了
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