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「飲まないの?」
ドリンク剤を一気飲みした遼太郎が長椅子に腰かけた。
急いで戻る気はないらしい。
「はい、の、飲みます」
ぎこちなく答えてから、一つしかない長椅子を前に悩む。
遼太郎の隣に座ると気を悪くされるかもしれないし、立ったままだと角が立つ気もするし……。
迷った末、私はできるだけ遼太郎から遠くなるよう、長椅子の端ぎりぎりに座った。
「そんなに怖いか?」
「えっ?」
アルミボトルを開けようと頑張っていた私はよく聞き取れず、慌てて顔を上げた。
遼太郎は軽く笑って、椅子の背にもたれて窓の外を眺めた。
「いや、いい」
会話とも呼べないものがそこで終わったことを確認すると、また私はアルミボトルと格闘し始めた。
早くこの緊張の場から逃れられるならもう炭酸なんか飲めなくてもいいぐらいだったけれど、とにかく飲まなければ遼太郎に何か言われそうで引くに引けない。
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