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「後でゲップ出るぞ」
そんな声が飛んできて隣を見ると、遼太郎と目が合った。
いつもより柔らかな、昔よく見た彼の表情だ。
私を遠ざけたがっていると思っていたのに、急いで部屋に戻ろうとせず一緒にいて話相手になってくれるのが嬉しくて、また心が上向いた。
「西岡課長にも同じこと言われた」
ところが、てっきり話に乗ってくれるものと思って私が笑いながらそう言うと、遼太郎の表情が心なしか冷ややかになった。
「西岡課長、か」
反応はその一言だけで、遼太郎はドリンク剤の小瓶をゴミ箱に投げ入れた。
ガラス同士がぶつかる甲高い音がドリンクコーナーに響く。もう話を切り上げたいと言
われたようで、膝の上のボトルを握りしめる。
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