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その時、背後から声がした。
「見つけた、今井くん」
振り向くと、資料の束で入口の壁をノックしながら市川さんが立っていた。
「こんなところでさぼってたのね」
市川さんは部屋に入ってくると、遼太郎の背後の背もたれに片手をかけ、こちらをチラリとみてから遼太郎に笑いかけた。
「あまり新米ちゃんをからかっちゃ駄目よ」
瞬間湯沸器のように顔が真っ赤になった。
その意地悪い表情に、私を見下しているのがわかる。
でも私があまり戦力になりそうにないのは事実だから何も言い返せない。
「じゃ、私は戻りますね」
素知らぬ顔でやり過ごし、廊下に出る。
廊下の突き当たりまで進んでも、背後のドリンクコーナーから二人は出てこなかった。
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