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倉上ビルの社員食堂は屋上庭園に面していて、庭園の緑の先に東京の街を一望できるという、とても贅沢な環境だ。
最高レベルの社員に、最高レベルの環境。
雲の上の世界に、私たちは期間限定で身を置いている。
窓の向こう側では、大勢の倉上社員が昼のひとときを過ごしているのが見える。
彼らはみんな、世界を飛び回る超エリートだ。
……遼太郎も、市川さんも。
「今思うと、プレゼンはまだ楽でした。こっちからの一方通行ですもん。レベルが低かろうが何だろうが、とりあえず喋りきればそれでよかったし」
窓に背を向け、またフェンスに手をかける。
長身の西岡課長はフェンスの上から景色を眺められるけれど、身長が百六十に満たない私の視界はフェンスの縦模様だ。
「でもディスカッションだと辛いです。キャッチボールですもん。すごく高い球が来るし、でも私が投げ返すとすごく低い球で」
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